今回の心理療法「フォーカシング」は、非常に感覚的な療法になるので、
頭であれこれ考えてしまう方には導入しにくいですが、
普段ついないがしろになってしまう「心の声」=「本当の自分の気持ち」を知るにはいい療法です。
フォーカシングといえばフェルトセンス!
フォーカシングにおいて、最も重要なキーワードは、フェルトセンスです。
フェルトセンスとは、意味を含んだ身体感覚のことを指します。
例えば、胸のざわざわや、お腹がきりきり痛む、背中がウズウズするといったもので、
そうしたシーンをリラックスしながら思い出します。
その時に、自分のそうした内側の状態に目を向けてみます。
このざわざわする感じは、いったい私に何を語りかけているのだろう?
なんか、そのざわざわするものと向き合う時に涙が出るほど悲しい気持ちになるな・・・
ちくちく針を刺されたように痛む・・・
このような感覚がフェルトセンスです。
フェルトセンスとの付き合い方
フェルトセンスには重要な意味があります。
この感覚の多くは、防衛的な反応の1つとして見られることもしばしばあります。
例えば、朝礼で1言スピーチをする前に胸がざわつくといったフェルトセンスは、
失敗を避けるために、みんなに嫌われないようにするためになどの意味を持つと思います。
なので、フェルトセンスは決してネガティブなものではなく自分の身を守るためのものと理解していいかと思います。
では、このフェルトセンスはいつごろから感じるようになったのか?
具体的にどういう場面で強く感じたり、感じなくなるのか?
このようなことをカウンセラーと話しながら、そして感じることで、
本当の自分の気持ちや、本当の悩みや問題の根源が見つかることもあるのです。
フォーカシングのすすめ
フォーカシングがあまり向かない人は、理屈的な人や評論的な人、あとはシャイな人なんかも見つけにくいです。
心の内の声と会話をするということは、日常ではまずやることは無いと思うので、恥ずかしさや抵抗感は少なからず誰もが持つと思います。
ただし、心の声ほどに自分のために一生懸命に訴えてくれるものはありません。
そんな声、フェルトセンスをどうか無視しないで欲しいです。
とても感覚が重要な心理療法なので、言葉で説明することは非常に難しいのですが、参考にして頂ければ幸いです。
うつ病歴3年。カウンセリングによって症状が寛解した体験を持つ。
現在は産業カウンセラーとして、個人のカウンセリングからメンタルヘルスの研修講師、行政(静岡県・静岡市)の相談員を務める。
「カウンセリングをもっと身近に」をテーマに押し付けない、負担にならないカウンセリングを心掛けています。