私はうつ病を3年患った経験がありますが、そのような経験のない人には分かって貰えないことも多くあると思います。
同じうつ病と言えども症状の出方にはばらつきがあるかもしれませんが、私が体験した症状は伝えられるので、
「もしかしたらうつ病かな?」と思える人や、家族や身近な人がうつ病にかかっていてどう理解をすればよいか分からない方は参考にして頂ければと思います。
目次
1.無気力・意欲関心がなくなる
うつ病の最も代表的な症状はこの無気力感と言えるでしょう。
「やる気にならない」と聞けば怠けていると思われるかもしれませんが、やる気どうこうの前に本当に何も出来なくなるのです。
着替えも出来ない、風呂も入れない、食事を取るのも億劫、ひどい時は目を開けるのも嫌になります。
友人や病院の先生などには、「趣味とか楽しめることをすれば?」と言われていましたが、そんなのありません。
病前は楽しめていたことも何も魅力を感じなくなり、生きているのが本当に辛くなってきます。
毎日が色のないような生活で、ただ生きているだけ。息をしているだけ。
うつ病のどん底は本当にこのような感覚でした。
自分の意思ではどうにも出来ないので、それは気の持ちようではなく間違いなく病気ということが言えるのでしょう。
2.あらゆる刺激に敏感になる
もともと私はHSP(繊細な人)の気質を持っていたとは思いますが、うつ病になっている時はさらにその気質が大きく出ました。
テレビの音、人の声、日の光・電気の光、におい・・・
全て煩わしくもあり、時にはすごく怖かったです。あらゆる刺激が自分を攻撃してくるように感じました。
何度テレビを壊そうと思ったことか・・・
そんな状況で人が絡んでくると事態はもっと最悪です。
言葉の裏を悲観的に取ったり、視線や態度が見下しているような引かれているように感じたり、どうせ今優しくしている人もいなくなると考えたり。
生きていれば何らかの刺激にさらされて生きているので、まさにこのような状況にあるうつ病の人は生き地獄なのだと思います。
また、刺激以外にも考え方が極端になる傾向もありました。
物事を大袈裟に悲観的に捉えたり、暴力的な発想が浮かんだり・・・
その時は気付きませんでしたが、自分の考え方が自分自身を苦しめることもあったのだと思います。
3.生活習慣が著しく乱れる
夜眠れないのは当たり前として、私は初めて心療内科を受診した日からわずか2~3ヵ月で体重が20キロ増加しました。
夜食を取らないと不安で落ち着かなかったのです。
セブンイレブンのチーズバーガーは毎晩のように食べていたように思います。
20キロも太れば印象は全然違うようで、友達や職場の同僚には「肥えたね」、「誰か分からなかった」、「おっ、おー(視線を顔や腹に)」とされてしまいました。
もともと私はやせ形で、太る意味なんて分からないと調子に乗っていた人間だったので自分がデブになったことに余計ショックを受けました。
日中は、ソファや布団にごろごろ、うだうだしているだけなので当然消費するカロリーはほとんどないので太るのも当たり前ですよね。
(今はピーク時から15キロくらい元に戻りました。お腹がなかなか・・・)
私の場合は食に走ってしまったのですが、浪費に向かう方や、お酒に頼る方など普通の生活は困難になることもよくあります。
4.お薬ではどうにもならないことがある!?
私はメンタル不調に陥ってから、病院は三か所回り、試した薬は数十種類飲んできましたが劇的に症状が良くなったということはありませんでした。
個体差があると言われればそれまでのなのですが、今カウンセラーとしてうつ病の方のお話を聴かせてもらうと、
「飲まないよりはマシだとおもうから飲んでします」
「あまり効果は感じられません」
「効いているような、効いていないような・・・」
という方が半数以上いらっしゃいます。
風邪やインフルエンザなどは、お薬を飲んで安静にしていればそのうち症状が治まるのに精神疾患は何故そううまくいかないのか。
数か月で良くなる人もいれば、何十年も症状に苦しむ人がいるのは何故か。
ここからは、個人的な見解が多分に含まれますので鵜呑みにしないで参考程度に留めて欲しいのですが、
お薬で期待できるのは『症状の緩和』に限定されているからだと思うのです。
希死念慮や衝動性を抑える、気持ちを上げられるようホルモンを調整する、寝られないのを寝られるようにする。
あくまでこれらは症状の緩和で、悩みそのものを取り除くものではありませんよね?
例えば、誰もが病んでしまう超絶ブラック企業で働くとして、必然的に気持ちが病んで休息を取りましょうとなりました。
お薬を服用しながら、症状は落ち着いて気持ちも回復してきたので復帰を考えます。
「また、あの地獄に戻るのか・・・」
そう考えただけでも気持ちが不安定になりそうですし、気合を入れて復帰したところで職場環境が変わっていなければ、またメンタル不調に陥るのも時間の問題ですよね。
薬はブラック企業をホワイト企業に変えてくれませんし、どんなことが起きても折れない強い心を与えてくれるわけでもありません。
自分を取り巻く環境や、自分自身に何か変化が起きなければうつ病の沼からはなかなか抜け出せないのかもしれません。
【重要】ほとんどの人がうつ病をどうにかしたいと思っている
うつ病当事者以外の人はここまで読んで頂いてどのような印象を抱いたでしょうか?
これでもまだ「怠けている」・「根性が足りない」と言えますでしょうか?
見た目にはさほど変わりが無いのでそう思うのも無理ないかもしれませんし、本人もうつ病を認めることに抵抗を感じる(病識が無い)こともあります。
しかし、本当にうつ病や他の精神疾患も「ヤバい」です!
好き好んでなっている訳ではなくて、よく分からない内にどうにも出来ない状況に陥れられているのでとても苦しいです。
本人だってどうにかしようと頑張っていることを理解して頂きたいです。
頭では自分がダメな事を分かっていてもどうにもならない状況だからです。
もちろん正確にはどうにもならないと『思い込んでいる』訳なのですが、そこに行き着くまでの背景は必ずあるはずです。
その気持ちは十分に汲み取ったうえで、今ほんの少しでもやれそうなことがないか探して行動していくことがいいのだと私は思います。
☆うつ病は治らない病気ではない
うつ病のどん底には、自分が回復する夢や希望もありません。
しかし、うつ病は治る病気です。
今私も薬を服用せずに生きています。回復された方もたくさん見てきています。
私がうつ病を克服する過程で大きなターニングポイントと感じていることがあるのですが、それは、
「うつ病を治すことを考えない事」です。
辛くて・苦しいのだから早くどうにかしたいと思うのは当然です。考えないようにしても意識してしまうことも分かっています。
しかし、厳しい現実ですが短期間でどうこうなるような話でもないのだと思います。
私自身、病気を治そうとあれこれ考えて、病院や薬、カウンセリングやヒーリングなどいろいろ試してみました。
治そう、治そうと必死になっているうちは症状は緩和されなかったのです。
師匠であるカウンセラーと出会い、こんなどうしようもない僕を肯定してくれ認めてくれました。
何となくあの場で話をしている時は、うつ病である自分も受け止めてくれたので変に卑屈にならずに済んだのかもしれません。
カウンセリングに1年くらい通う中で、カウンセリングの世界に興味を持つようになって、勉強をするようになりました。
そう、この時も病気のことをあまり考えないで過ごすことが出来たのだと思います。
気付けば次第に出来ることも増えてきて、何とか社会復帰も出来るようになりました。
私の場合は勉強することで、うつ病から意識を逸らすことが出来たので、それが良かったのだと思っています。
したがって、うつ病から意識を逸らせるのであればどんなことでもやってみていいと思います。
元気な時に比べると集中力や記憶力、作業効率などは落ちているので悲しくなる時もあるかもしれませんが、そうなる前に止めて楽なままにしておくことが習慣化させるコツだったりします。
今、病気や症状のことでどうすることも出来ないのであればいったん保留でいいと思います。
問題解決に直接結びつかなくても、出来ることからコツコツやっていけばきっと何かは変わります。
そして、自分の心身が回復してきた時にまた病気と向き合えばいいのです。
1人で頑張ろうとしなくても大丈夫です。
気持ちが沈んでいる時は、良い解決策を思いつこうとしてもなかなか出ないですものね。
もし、もうダメかもしれないと感じるなら、今まで自分のしてこなかったことに答えがあるのかもしれません。
「人に話をすることで、何か変わるの?」と考えていた僕が、今はカウンセラーをやっているなんておかしい話ですが、
今思えば、他人に自分の悩みを話すことってあまりなかったのだと思います。
100%何とかできます!なんて無責任なことは言えませんが、私は皆さんの力になりたいと思っていることは本当のことです。
カウンセラーさんによっても、関わり方や相性は変わるので、もしこの記事を読んで興味が出たらご連絡いただけると嬉しいです。

うつ病歴3年。カウンセリングによって症状が寛解した体験を持つ。
現在は産業カウンセラーとして、個人のカウンセリングからメンタルヘルスの研修講師、行政(静岡県・静岡市)の相談員を務める。
「カウンセリングをもっと身近に」をテーマに押し付けない、負担にならないカウンセリングを心掛けています。