今回ご紹介するのは、心理療法というより技法になるのですが、比較的新しい技法で広く用いられているのでご紹介させて頂きます。
EMDRとは
眼球運動によって過去の苦い体験やトラウマの認知を変えようという主旨のものです。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)や解離性障害、パニック障害、恐怖症などトラウマなどを抱えている人に一定の効果が認められます。
臨床研究もされたエビデンスのある技法(EBM)なので、信憑性も高いと言えるでしょう。
どのようなことをするかと言うととても単純です。
過去の解消したい記憶やトラウマを思い出しながら、指導者の指先を目で追うだけです。
え、こんな簡単なことで?
と思われるかもしれませんので、一応根拠も示しておきます。
人は夢を見るときに眼球運動をする
夢を見るというのは、記憶の定着化をはじめとした情報処理をしています。
夢でいい記憶として浮かび上がったものは、いい記憶として定着し、
反対に悪い記憶が夢として浮かび上がった場合には悪い記憶として定着します。
また、不要だと思う情報(生きるためにという点で)については、そこで忘れるということも出来ます。
もしかすると、テスト勉強で思うように記憶に入ってこないのは、自分の中で不要な情報と認識しているからかもしれませんね。
さて、そうすると眼球運動と夢とトラウマが少しリンクしたかと思います。
起きている状態で安心感を得る
カウンセリングという場では、否定されたり、人に気を遣うことなく安心できます。
そうした環境はトラウマから脱却するのにはもってこいです。
1人でも頑張ってトラウマに向き合おうと思う方もいると思いますが、上手く克服できることは少ないかと思います。
なぜなら、考えに考え抜いてどうしても解決に至らなかったから「トラウマ」という形で残ったはずです。
自分の内側をさらけ出すのは、恥ずかしいし格好悪いと思うかもしれませんが、
自分を取り繕って、我慢した人生を送るより、誰かに相談して前向きになれた方が賢い選択と言えるかと思います。
悪夢にうなされ困っている方、自分に負い目を感じている方など、安心できる場で気持ちを解放してみてはどうでしょうか?
バタフライハグ
パニックを起こしやすい方、苦しさ辛さをひどく感じる方にお勧めの方法です。
簡単に動きだけを文章で説明すると、
解消したいネガティブな状況を考えながら(考えなくても出来ます)、手を交差させ左右の肩を交互にリズミカルにたたきます。
そして、深呼吸をして自分の感情の変化を確かめるというものです。
これは、地震(メキシコでの災害時)が起きた時にセルフケアが出来る方法として考えられたもので、子どもにも一定の効果があるようです。
手を胸の前で交差させる仕草は、腕組みと同じで自分を守る時に用いる動作なので、そういった面からも潜在的に安心感を得られるのかもしれませんね。
また、リズミカルにたたくというのも1つポイントになっており、まるでお母さんが子どもを寝かし付けるときの「トントン」とよく似た気持ちを感じるかもしれません。
「大丈夫だよ~」、「もう怖くないよ」などと実際に自分へ声掛けをしてもいいかと思います。
ご興味のある方は、動画サイトにやり方はありますので、調べてみて下さい。
EMDRもバタフライハグも一定の効果はあるかもしれませんが、これで全て上手くいくとは限りません。
人に合わせて、タイミングに合わせて(今日その日の)、
こういった療法がいいかもなと思うものは私の方でお勧めしてますので、
遠慮なくご相談頂けると嬉しいです。
うつ病歴3年。カウンセリングによって症状が寛解した体験を持つ。
現在は産業カウンセラーとして、個人のカウンセリングからメンタルヘルスの研修講師、行政(静岡県・静岡市)の相談員を務める。
「カウンセリングをもっと身近に」をテーマに押し付けない、負担にならないカウンセリングを心掛けています。