メンタル不調などにより一定期間働けなくなる方は少なくないでしょう。
私自身うつ病と診断され復職を何度も試みましたが思うようにいかず結果退職する形となってしまいました。
心理カウンセラーをしている今だからこそ見えてきていることもあるので、そのあたりを共有させて頂ければと思います。
復職・社会復帰を考えている方と、職場でメンタル不調に陥っている方への対応に困っている方などにぜひご覧いただきたい内容になっています。
とにかく焦りは禁物
メンタル不調に陥っている方の多くは、超が付くほど真面目な方が多いです。
一見そうは思えないこともあるかもしれませんが、自分の中で無意識に決めたマイルール(~すべき、~ねばならない)をいつも遵守しています。
当然多くの方は、
「早く復帰しなければならない」
「みんなに迷惑をかけるわけにはいかない」
などすでに自分自身にプレッシャーやストレスをかけ続けている状態です。
ここで冷静になって貰いたいのですが、そもそも不調に陥ったのはストレスの溜めすぎという面も否定できないということです。
職場でパワハラを受けたり、プライベートでショックな出来事が起きたりなど環境からもたらされるストレスもある一方で、
自分自身の考え方や感じ方から来ているストレスも少なくないのです。
『焦り』という感情は、まさに自分自身にストレスをかけることに繋がります。
メンタル不調は念じれば治るようなものでもありませんので、
まずは医者に言われたこと(休養を取ること)を守ることが遠回りに見えて回復への近道になるのだと思います。
職場の方に伝えたいこととしては、とにかくプレッシャーを感じさせないように関わって欲しいということです。
事務作業・給与計算の関係もあって状態確認や復帰のスケジュールを本人と擦り合わせる必要があるかと思います。
しかし、職場から電話を貰うことや職場に電話をかけること自体もナーバスになっていることが多いと思いますので、
伝え方は非常に難しいかもしれませんが、焦りを増長させるような関わり方は抑えて貰えると本人は助かると思います。
メンタル不調の方は元気な元の状態に戻ってはいけない
当カウンセリングルームの相談者の方の中には、
『バリバリ働いていたあの元気な元のようになりたい!』
と訴える方が多いのですが、それについてはやんわりと否定するようにしています。
なぜなら、同じことの繰り返しになるからです。
気持ちが落ちていたり、不安定な状態だとつい過去のことを後悔したり、過去の栄光にすがってしまいます。
良い部分だけ切り取ってみれば羨ましく感じるかもしれませんが、その反面強烈なストレス状態にさらされていたことも自覚する必要があります。
もちろんそれは、職場環境が悪い事が理由になることもあるかもしれませんが、往々にして我慢してしまう癖のある本人に問題があることが多いです。
今でこそ気付いたことですが、私もかつては「目上の人には黙って従うものだ」という考えがあったのですが、
嫌なものは嫌だし、納得できないことは納得出来ませんもんね。
ストレートに「それは嫌です!!と言えば拗れるのは当たり前ですが、言い方によってはお互い分かり合えるチャンスにもなるかもしれません。
話を元に戻しますが、復職を考えるうえでは元のようになろうとはせずに、
今まで自分がしてこなかった言動や考え方が出来るようになっていれば、それが武器になるはずなので自信を持って復帰に向かえると思います。
職場の人に「おっ、あいつ良くなったな」と思われるためにも、
新しい自分を開示していく必要があるかもしれませんね。
復職・リワークプログラムの最中も焦らずに
近年、復職・リワークプログラムを実施している企業も多く見受けられます。
ただ本人にとってはこのプログラムに自分の状態を合わせようとすることがしんどいと感じることも少なくないでしょう。
出来るだけプログラムには柔軟性を持たせて、本人の出来そうなペースで行うことが一番だと思いますので、
しっかりと話し合ってスケジュールを立てて貰えると良いかと思います。
先も伝えた通り、本人たちは真面目な方が多いので、職場の人に言われたことは我慢してでも応えようとクセで思っている方が多いです。
時間的な制約や、本人との関係性など様々な事情はあるかもしれませんが、
『本人の口から出たもの=一番納得感がある→前向きにプログラムに取り組める』
このことを念頭に置かれるといいでしょう。
カウンセリングも検討するとよい
産業カウンセラー、メンタルクリニック常駐のカウンセラー、民間のカウンセラーなど信頼できるところであればどこでもいいです。
重要なことは悩みを一人で抱えないことと、本人と相性の良いカウンセラーを見つけることです。
あいにく私は職場で紹介されたEAPを受けたのですが、気持ちは多少楽になるものの良い変化があったかと言われるとそこまでではありませんでした。
(もちろん、相性があるのでEAPが合ってるという人もいると思います)
結果としては、知人から紹介された民間の個人でやられているカウンセラーさんが一番相性がよく、考え方や感じ方にも変化が大きく出ました。
カウンセリングは病気を治すところではありませんが、私個人の体験ではカウンセリングを受けたことで病状も回復していきました。
本人の気持ちや考え方を尊重しながら、気付きのあるカウンセリングを行うことが出来れば、何かしらの変化が生まれます。
その変化が復職の悩みはもちろん、あらゆる悩みの認識を変えるきっかけになるのではないかと思います。
そして、ストレスを溜めにくい、ストレス耐性のある自分へと変わっていくのかもしれません。
最後に、私は復職に失敗しました。そして職を失いました。
避けられるものであれば避けたい出来事だと思います。
皆さんには私と同じような思いをして欲しくないですし、今まさに困っていてどうすればよいか分からない人たちにとって、
この記事が希望になれば幸いです。
頑張れない時は、頑張る必要はありません。
そして報われない努力ならば、頑張り方を変えると報われることもあるかもしれませんし、そうではないかもしれません。。。
うつ病歴3年。カウンセリングによって症状が寛解した体験を持つ。
現在は産業カウンセラーとして、個人のカウンセリングからメンタルヘルスの研修講師、行政(静岡県・静岡市)の相談員を務める。
「カウンセリングをもっと身近に」をテーマに押し付けない、負担にならないカウンセリングを心掛けています。